ターメリック(熱帯ウコン)のクルクミンにアルツハイマー病、予防と改善の可能性が示唆されています。

金沢大学大学院医学系研究チームはアルツハイマー病の予防、治療効果を持つ成分を探索する目的で、カレーやスパイスを多く摂取するインドでアルツハイマー病の発症頻度が低いことに着目した。

カレーの代表的なスパイス、ターメリック(熱帯ウコン)に多く含まれるクルクミンを使ってアミロイドβタンパクが脳に凝集していく過程を試験管の中に再現し、クルクミンがそれを阻止するか否かを調べる実験を行った。

その結果が資料3-1と資料3-2である。

資料3-1はクルクミンを加えたことで、アミロイドβタンパクの凝集・線維化が、大幅に抑制されたことを示している。またその抑制効果は、クルクミンの濃度が濃いほど顕著に認められた。

アミロイドβタンパク伸長抑制作用

資料3-1

fAβ(1-40)+Aβ(1-40) クルクミンなし 

+10μM クルクミン

+50μM クルクミン

クルクミンのアミロイドβタンパク伸長抑制作用、6時間経過観察

※1マイクロメートル=1000分の1ミリメートル(0.001ミリメートル)
10㎛は、0.01ミリメートル です。

資料3-2はすでに線維化したアミロイドβタンパクに対するクルクミンの効果を見たものだが、この場合もクルクミンを加えることで線維が分解(不安定化)され、またその効力はクルクミンの濃度に依存していた。

アミロイドβタンパク不安定化 (分解 )作用

資料3-2

fAβ(1-40)+Aβ(1-40) クルクミンなし

+10μM クルクミン 

+50μM クルクミン

クルクミンのアミロイドβタンパク 不安定化(分解)作用、6時間経過観察

今回の実験で、これらの成分には、アミロイドβタンパクの凝集を抑制し、すでに凝集・線維化してしまったものに対しては不安定化して分解する抗アミロイド作用もあることが明らかになったわけである。

このように、抗酸化、抗炎症作用もアルツハイマー病の発症に対して予防的に働くため、実際にはこれらの効果が複合的に効いている可能性があるということです。

パーキンソン病やレビー小体型認知症にもクルクミンの効果が期待できる

パーキンソン病やレビー小体型認知症は、ともに高齢者に多い脳の疾患で、レビー小体型認知症は認知症の原因疾患としては3番目に多い。パーキンソン病やレビー小体型認知症では、α-シヌクレインという異常なタンパク質が脳内に凝集することが知られている。

私たちはクルクミンがこのα-シヌクレインに対して、アミロイドβと同様の効果(凝集抑制作用及びすでに凝集・線維化してしまったものを不安定化し分解する作用)を示すことを確認しており、クルクミンはこれらの病気の予防、治療薬開発においても期待が持てる。

αシヌクレイン繊維(fαS)形成抑制及び fαSの 不安定化(分解)作用

fAβ(1-40)+Aβ(1-40) クルクミンなし +10μM クルクミン +50μM クルクミン

資料3-3

クルクミンのαシヌクレイン繊維(fαS)形成抑制および既成 fαS の分解(不安定化)作用

出典

~もの忘れ外来臨床医が注目するカレースパイスの可能性~

-第8回カレー再発見フォーラム-認知症と食生活の関係を探る

山田正仁氏(金沢大学大学院医学系研究科神経内科教授)

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