「当院では、ステージ3・4のガン患者さんには抗がん剤は使用しません。」
あるクリニックのお話を参考にさせていただきました。
がんの3大治療は「手術」「抗がん剤」「放射線」ですが、このクリニックではどの治療も行なっていないそうです。
ステージ3、4の進行・末期がんと呼ばれる患者さんを専門に治療しており、がん細胞が原発巣から遠くのリンパ節や臓器・骨に転移したステージ3から4のがんに対してはいずれも有効ではなく、5年生存率が大幅に下がっています。
これまで数十年の間、ほとんど変わっていないのが実情です。
つまり病院で一般的に行なわれている治療は、進行したがんに対して、ほとんど有効な治療法になっていないということです。
現実には、転移が広がって手術や放射線治療ができない進行がんの患者に、多くの病院が「抗がん剤」治療を行なっていますが、抗がん剤治療は臨床経験と理論上から、効果は限定的のようです。
国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」でも、「化学療法で治療可能ながん」として明記されているのは、成人の急性骨髄性白血病や悪性リンパ腫など主に血液のがんの7つに限られます。
ステージが進んだ患者は多くの場合、体内のリンパ管を通じて身体中に転移していきますが、抗がん剤はリンパ管に効きにくいのです。
そのことが進行・末期がんの治癒率が低いということのようです。
なぜ抗がん剤はリンパ管に潜むがん細胞に対して効きにくいのでしょうか。
通常の抗がん剤は血管の中に入って全身を巡ることから、大半が水に溶ける「水溶性」です。
そのため、脂に近い性質のリンパ管にはなかなか到達できず、そこに潜むがん細胞を殺すだけの濃度を保つことが難しいのです。
しかも、非常に薄い膜のリンパ管は血管と違って、医師が針を刺して確実に抗がん剤を注入することも技術的に無理のようです。
また、抗がん剤の使用には、薬物に対する耐性の問題がつねに付いて回ります。
最初は効いていたのに、残ったガン細胞が抗がん剤に対する薬剤耐性を獲得し、次第に効かなくなってしまう。
抗がん剤で、がん細胞の数を減らすことはできても、完治できない理由の1つです。
抗がん剤では「がん幹細胞」を殺せない
そして、じつは抗がん剤治療にはもう1つ、重大な問題があります。
それが「がん幹細胞」という新しいがん細胞を生み出せる存在です。
例えるなら、「女王蜂と働き蜂」のような関係です。
抗癌剤でガン細胞(働き蜂)を根絶したとしても、ガン幹細胞という女王橋が健在であれば、働き蜂を生み続け、働き蜂は分裂を一定期間繰り返して、ある程度たったら分裂をやめる。
すると女王蜂は新しい働き蜂を生み、働き蜂が分裂を繰り返すのです。
これまでは、抗がん剤によってガン細胞を根絶することが目的でしたが、ガン幹細胞の存在が明らかになった現在では、このガン幹細胞を叩かないかぎりガンの進行も完治もできません。
がん幹細胞説が新しい常識になりつつある現在では、進行がんには抗がん剤という従来のがん治療の常識が通用しなくなっているようです。
ここでガン幹細胞が、女王蜂に例えて表現されていますが、大変理解しやすい反面、ガン幹細胞の本質からすると別の説明が必要のようです。
といいますのは、ガン幹細胞はニッチという微小空間に存在し、細胞周期を静止期(G0期)に留めることで、増殖速度の遅い耐性細胞を形成します。
抗癌剤によって髪の毛が抜けてしまうことでも理解できるように増殖速度の速い細胞に対して効果的ですが、増殖速度の遅い細胞に対しては効果が低いため、ガン幹細胞は生き残ることができます。
また、ニッチでは、ガン幹細胞にシスチンというアミノ酸を取り込ませることで、強力な抗酸化物質・グルタチオンを合成させます。
グルタチオンは活性酸素を下げることで、放射線や抗癌剤による酸化ストレスからガン幹細胞を保護します。
Nature careers
がん幹細胞マーカーCD44が、抗酸化ストレスの機能を果たしていることを発見!
慶應義塾大学 先端医科学研究所 遺伝子制御研究部門
https://www.natureasia.com/ja-jp/jobs/tokushu/detail/230
これまでは、がん細胞の1つ1つが無限に増殖していくと考えられていたため、とにかく個々のがん細胞を叩いて全滅させることが抗がん剤治療の方針であり目的でした。
しかし、抗がん剤では死なないガン幹細胞の存在があるということは、再発や転移を避けて通れないのが現実です。
ガン幹細胞は、増殖速度が遅く抗がん剤では効果が出ず、加えて強力な抗酸化物質・グルタチオンを合成して放射線や抗癌剤による酸化ストレスから自らを守っています。
ここに進行ガンに対する抗がん剤治療の限界があり、ガン幹細胞を制御しうる方策を見つけることが近々の課題のようです。
現在、ガン幹細胞に対する治療法として慶應大学や大阪大学が動物実験で免疫細胞療法の有効性を証明。
国立がん研究センター中央病院などで、メトホルミン併用療法が安全性と有効性を評価する先進医療(第II相臨床試験)を開始。
分子標的治療という分子レベルでの病態解明による薬剤開発が進められている。
これらの治療法は、効果的な実績を伴ないつつあるようですが、確実性には至っていないようです。
熱帯ウコン「赤陽」
農林水産省、品種登録番号 第21486号