COPD タバコ煙を主に有害物質を長期に吸い込むことで生じた肺の炎症疾患と定義

〔肺気腫・慢性気管支炎〕

COPDは肺気腫と慢性気管支炎からなる疾患と定義されていたが、今日ではタバコ煙を主に有害物質を長期に吸い込むことで生じた肺の炎症疾患と定義されています。

厚生労働省の統計によると2011年のCOPDによる死亡者数は16,620人で、増加傾向にあります。

COPDは、およそ20年以上の喫煙歴を経て発症する病気で、日本でも20年前の喫煙率上昇の影響がCOPDの死亡率を高めていると考えられています。

いまだ喫煙率が高く、喫煙開始年齢が若年化している日本では、今後さらに患者数が増加することが懸念されています。

特に女性の場合、男性より肺が小さくてその体積に比べ、相対的に気管の容積が大きくなるため、気道が外部からの刺激に過敏に反応しやすく、発症するケースと閉経後、女性ホルモンのエストロゲンが少なくなることで、COPD発症のリスクが高められる場合があるということです。

今後は女性の死亡者数もかなり増大する傾向にあります。


ウエブサイトにて西園寺 克氏(臨床細菌学、臨床薬理学、臨床免疫学を専攻)が、大変ショッキングな表現ですが、COPDに関して分かりやすく説明をされています。

COPDについて認識を深めるために、あえて要点を引用させていただきました。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は呼吸不全で死亡します

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は肺の構造が壊れて、息を吐く事が困難になります。最終的には呼吸不全で死亡します。診断には呼吸機能検査が必要です。予防には禁煙しかありません。

肺が縮まなくなるのが『肺気腫』
空気が抜けにくいのが『慢性気管支炎』

肺をゴム風船に例えて、肺の構造の壊れ方を説明します。何回も膨らませた風船のように、肺が縮まなくなるのが、『肺気腫』です。

風船の空気の抜ける部分が狭くなって、空気がなかなか抜けないのが『慢性気管支炎』です。肺気腫も慢性気管支炎も慢性の咳や痰を伴います。

COPD患者の大部分は両方の病気にかかっている

大部分の患者さんは両方の病気にかかっていて、息が速く吐けずに、また吐いた後で息を吸うことが困難です。

そのために、普段は平気でも、階段を上がったり、信号で走ったりして、体を動かした時に、呼吸困難になるのが特徴です。

COPDの診断には呼吸機能検査が必要です

WHO(世界保健機構)の統計では、COPDは、死亡順位の第4位になっています。

日本の厚生労働省の2000年の統計では、COPDは、死亡順位の第10位となっています。

この差は、日本ではCOPDでも正しい診断がされていないために、隠れCOPDが多いためです。

COPDの診断には、どれぐらいの割合の空気を吐き出す事ができるかを調べる呼吸機能検査(=スパイロメトリー)が必要です。

ある疫学調査では、40才以上に限れば1/12、約500万人の患者がいるという報告もあります。

COPDを進行させないために
「酸化の抑制・炎症の抑制・免疫力の強化」
この3っつの行為が大切です。

全身病・酸化・抗酸化抗炎症力・免疫・急性増悪・炎症

タバコ煙による酸化ストレス

COPDは、喫煙習慣と極めて密接に関連しますが、たばこの煙には、無数の微粒子が含まれ、ガス状物質と粒子物質からなっています。

ガス成分には、水、ニコチン、タールからなり、タールには発ガン性物質の多環状芳香族炭化水素のほか、フェノール、ベンゼン、ナフタリン、金属イオンなどが含まれています。

この内、一酸化炭素、ニコチン、タールが特に有害とされています。

これらの酸化物質が、持続的なタバコ煙により肺病変部に過剰に暴露されると酸化ストレスを発生させ、マクロファージやCD8陽性細胞からインターロイキン-18(IL-18)や腫瘍壊死因子-α(TNF-α)〔NHK「試してガッテン」の番組で「悪魔の物質」と呼ばれた〕などのサイトカイン産生を増加させる。

このサイトカインの放出調節は,ほとんどがNF-κBと呼ばれる転写因子によって行われています。

NF-κBは、あらゆる免疫に携わる受容体の刺激によって活性化され,免疫応答に必須の役割を演じています。

しかし、NF-κBが多すぎるとサイトカインが過剰産生されその過剰な状態が感染症や炎症、ガンを発生させる原因になってしまいます。

炎症は、さまざまな物質が関与する複雑な体の反応ですが、その中でも代表的な初期の炎症は、白血球の一種である好中球によって、引き起こされます。

正常な人では、肺の血管内をスムーズに流れていますが、タバコ煙によって酸化ストレスが発生すると、好中球が反応し、好中球の表面がざらざらになって血管壁に付着しやすくなります。

肺の毛細血管は、極めて細いため、通常の白血球であれば、形を柔軟に変形させて、なんなく通り抜けられるのが、酸化によって硬化してしまった好中球は通り抜けられず、血管内にどんどん詰まってしまい、やがては肺胞の壁が壊れてしまいます。

好中球をはじめ白血球が死しんで、多くの有害物質が血管壁にたまり、やがて血管外に漏れ出し、肺障害へと進行します。

正常な状態であれば、抗酸化物質が動員されて、酸化ストレスを消去あるいは抑制されますが、喫煙者にとってはこの酸化ストレスに対処する抗酸化物質の絶対量が少なく、持続的な炎症から肺胞や肺気道への損傷が進行してしまいます。


COPDにおける抗酸化治療の進歩

ソース:環境医学科、肺生物学と疾病プログラム、ロチェスター医療センター、ロチェスター、NY、アメリカの大学。


要約
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、罹患率と死亡率の高い発生に関連づけられています。

タバコの煙による酸化ストレスが密接にCOPDの進行及び増悪に関係ずけられているので、抗酸化剤および酸化ストレスに対応する、または酸化防止剤の効果レベルを強化することで、COPDの治療に有効な結果が期待できます。

これまで試したいろいろな抗酸化物質、たとえば、グルタチオン・N-アセチル-L- システインやカルボシステインなどのチオール酸化防止剤および粘液溶解剤:Nrf2の活性剤及び食事療法ポリフェノール(クルクミン・レスベラトロール・茶カテキン類/ケルセチン)は、GSH(グルタチオン)生合成の誘導に沿って細胞内チオール状態を高めることが報告されている。

このようなチオール状態における高まりは、フリーラジカルあるいは酸化剤の解毒だけてなく、進行する炎症反応の抑制につながる。

また、このようなα-フェニル-N-tert-ブチルニトロン、触媒酸化防止剤(ECSOD模倣)、ポルフィリン(AEOL 10150とAEOL 10113)、およびSOD模倣M40419などの特定のスピントラップも、肺におけるin vivoでのタバコの煙による誘発性炎症反応を阻害することが報告されている。

それゆえ酸化剤の多様性で、フリーラジカルやアルデヒド類がCOPDの発症に関係しているので、いろんな抗酸化物質と粘液溶解薬の治療的な投薬はCOPDの病状管理に有効でありうる。

しかしながら、成功した結果の批判ついては、だれの病態生理学かを第一に正しく理解されるべきところのCOPDの特定の臨床表現型のための抗酸化療法の選択に依存するであろう。

この論説では、肺の抗酸化レベル、抗酸化治療の前進とCOPDにおける抗酸化化合物の最近の臨床試験を強化するために取り入れたさまざまなアプローチを精査します。

出典:PubMed 
米国国立医学図書館 国立衛生研究所
2008年12月、2(6):351-74。DOI:10.1177/1753465808098224。
「Antioxidant therapeutic advances in COPD.」
炎症反応は、たばこ煙の肺吸入と/または細胞性酸化剤によって触媒される。
 これら酸化剤は、ROS(活性酸素種)/RNS(活性窒素種)生成、酸化還元不均衡、および酸化還元感受性転写因子の活性化につながる、肺胞マクロファージュ・好中球・上皮細胞を活性化する。
 それらは、シグナル伝達の媒介物質として機能し、さらにCOPD患者の炎症反応にかかわり合いをもたせるかもしれない。
 抗酸化物質は、グルタチオン(GSH)の生合成と酸化還元状態の変化の誘導によって酸化ストレスを抑制する。
 それは抗酸化物質の治療的投与がCOPD患者の治療に有効である可能性がある。

炎症反応は、たばこ煙の肺吸入と/または細胞性酸化剤によって触媒される。

これら酸化剤は、ROS(活性酸素種)/RNS(活性窒素種)生成、酸化還元不均衡、および酸化還元感受性転写因子の活性化につながる、肺胞マクロファージュ・好中球・上皮細胞を活性化する。

それらは、シグナル伝達の媒介物質として機能し、さらにCOPD患者の炎症反応にかかわり合いをもたせるかもしれない。

抗酸化物質は、グルタチオン(GSH)の生合成と酸化還元状態の変化の誘導によって酸化ストレスを抑制する。

それは抗酸化物質の治療的投与がCOPD患者の治療に有効である可能性がある。

日本では、戦後の経済成長に伴い、たばこ消費量が増加し、20年から30年経過後COPDによる死亡者数の増加がみられ、現在も増え続けています。

主に長期の喫煙習慣による酸化剤(タバコの煙)の肺への吸込みによって、有毒物質が肺内に蓄積され、高年齢化や低質な生活習慣によって、その酸化状態を解毒する抗酸化物質「グルタチオン」の消耗を補うことができなくなってしまったことに起因しているようです。

この酸化剤は、活性酸素種(ROS)、活性窒素種(RNS)を生成させて解毒抗酸化物質グルタチオン(GSH)の消耗を激しくして、酸化ストレスの抑制が働かなくなるとともに炎症が加速度を増して深刻な疾患へと発展してしまうようです。

ターメリック(熱帯ウコン、クルクマロンガ種)の活性成分、クルクミン及び類縁体には、フリーラジカル(活性酸素種、活性窒素種)を直接抑制する働きとグルタチオン、S-トランスフェラーゼを誘導してグルタチオン濃度を高めることが認められています。

クルクミンは、グルタチオンの生合成を誘導し、NF-κBの活性化と肺胞上皮細胞におけるインターロイキン-8の放出を抑制 する

フリーラジカル消去活性のメカニズム

ソース:心血管科学センター、生物医学と臨床検査科学研究科、エジンバラ大学、医科大学、エジンバラ、英国。

要約 

酸化剤および腫瘍壊死因子α(TNF-α)は、インターロイキン-8(IL-8)を含む炎症性伝達物質の転写に関与する核因子-カッパーB(「NF-kappaB)などの転写因子を活性化する。

クルクミンは、数多くの病気に対する化学療法剤としての長い伝統的な使用実績があるスパイス、ターメリックに含有された天然のフラボノイドとして存在している。

我々は、クルクミンがグルタチオンレベルを増やすことによって、NF-カッパーBの活性化による酸化剤およびサイトカイン誘発と培養された肺胞上皮細胞(A549)からIL-8の放出を阻害する抗酸化および抗炎症特性の両方を持っていると仮定した。

過酸化水素(H202,100マイクロモル)を伴ったA549細胞の処理とTNF-アルファー(10ng/ml、ナノグラム・パー・ミリリットル)で、インターロイキン-8(IL-8)の放出と同様にNF-カッパーBと活性化タンパク質-1(AP-1)の活性化が有意に増加した。

クルクミンは、H202とTNF-アルファーを介したNF-カッパーBとAP-1の活性化、IL-8放出の両方を阻害した。

さらに、グルタチオン(GSH)とグルタミルシステインリガーゼ触媒サブユニットの mRNA発現レベルの増加が、未処理の細胞と比較してクルクミンで処理した細胞で観察された。 

クルクミンは、スーパーオキシドアニオンと直接相互作用し、そしてヒドロキシラジカルについてはTempone-H(塩酸塩)スピントラップを使ってラジカルの相互作用による消光が電子常磁性共鳴によって示されている。

このことは、酸素ラジカルスカベンジャー、グルタチオンレベルの変調を介しての抗酸化剤として、肺細胞におけるIL-8放出の阻害を介した抗炎症剤として、クルクミンは多様な特性を持っていることを示唆している。

出典
PubMed 米国国立医学図書館 国立衛生研究所
「Curcumin induces glutathione biosynthesis and inhibits NF-kappaB activation and interleukin-8 release in alveolar epithelial cells: mechanism of free radical scavenging activity.」

※A549細胞
A549細胞(A549さいぼう)は、ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞である。A549細胞株は、D. J. Giardらによってコーカソイド人種の58歳男性の肺がん組織から、1972年に初めて樹立された[1][2]。本来はこれらの細胞は扁平上皮細胞であり、水や電解質といった物質の肺胞を越える拡散に関与している。A549細胞をin vitroで培養すると、単層細胞として成長し、培養フラスコに接着する[1]。 これらの細胞のもう一つの特徴は、これらがレシチンを合成でき、細胞のリン脂質膜の維持に重要な高レベルの不飽和脂肪酸を含んでいることである[1]。A549細胞株は、薬物代謝のためのII型肺胞上皮細胞のin vitroモデルとしてや、トランスフェクションホストとして広く使用されている[3][4]。(ウイッキペディア、フリー百科事典、2013年2月17日)

スピントラップ法
活性酸素のうち、スーパーオキシドラジカル(O2-・)およびヒドロキシルラジカル(・OH)について、スピントラップ法と呼ばれる手法を用いて検出いたします。
スピントラップ法とは不安定なラジカルをスピントラップ剤とよばれる試薬と反応させたスピンアダクトという物質に変えて安定化し、電子常磁性共鳴(ESR)により検出する方法です。
(パナソニック㈱解析センター、 活性酸素測定法・抗酸化能評価方法、2013年3月1日)

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熱帯ウコン「赤陽」

  KAMESEの「熱帯ウコン」には、自然栽培物として他に類
  を見ない高濃度のクルクミン類を含有していることが、
  新たなDNAマーカー鑑定法によって実証されています。

  農林水産省、品種登録番号 第21486号